導入

J.P. Morganは、金融業界におけるブロックチェーン技術の導入において、常にその最前線を走り続けています。特に、そのブロックチェーン部門であるKinexysと、デジタル預金トークンであるJPMDは、同行の戦略の中核をなすものです。本稿では、J.P. Morganがどのようにブロックチェーン技術を活用し、金融市場に新たな変革をもたらそうとしているのかを、KinexysとJPMDを中心に解説します。特筆すべきは、J.P. Morganがグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)として初めて、パブリックブロックチェーン上で預金ベースのプロダクトを発行するという点です。これは、従来の金融と分散型台帳技術の融合における画期的な一歩と言えるでしょう。

グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)としてのJ.P. Morgan

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J.P. Morganは、世界経済において極めて重要な役割を果たす「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)」として認識されています。この指定は、同行の規模、複雑性、相互連結性、および国境を越えた活動の広範さを反映しており、その破綻が世界の金融システムに広範な影響を及ぼす可能性があることを意味します。そのため、G-SIBは、より厳格な資本要件や監督基準の対象となります。

J.P. Morganがブロックチェーン技術、特にJPMDのような預金トークンをパブリックブロックチェーン上で展開する際、このG-SIBとしての地位は重要な意味を持ちます。従来の金融システムにおける安定性と信頼性を提供する責任を負う一方で、分散型台帳技術の革新的な可能性を探求するという、二重の役割を担っています。この背景から、J.P. Morganのブロックチェーン戦略は、単なる技術的実験に留まらず、金融システムの安定性を維持しつつ、効率性と透明性を向上させるための慎重かつ戦略的なアプローチが求められています。

JPMorganのブロックチェーン事業の歴史

J.P. Morganは、ブロックチェーン技術の可能性を早期から認識し、その開発と導入に積極的に投資してきました。その取り組みは、以下のような重要なマイルストーンによって特徴づけられます。

2024年

2023年

2022年